インスピレーション溢れるアイデアを探す
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屋上から一望するマドリードの街。写真提供:Stocksy
私がマドリードを初めて訪れたのはまだ生後6か月の時。もちろん記憶はないのですが、クリスマスの時期でした。母は米国在住の誇り高きマドリードっ子で、休暇に私を連れて帰ったのです。
子ども時代の夏休みと冬休みをスペインの大家族に囲まれて過ごし、成長するにつれマドリードは私の第2の故郷となりました。はじめから、私はこの街に夢中でした。スペインの首都マドリードには、初めての旅行者でもリピーターでも楽しめる驚くほど多様なアクティビティや体験が揃っています。
豊かな文化と歴史を擁する大都市、活気あふれるサッカーシーン、賑やかなナイトライフ、そして絶品グルメ。これらを楽しみたいなら、マドリードは理想の旅行先です。
1日目の始まりは、El Patio Verticalでのコーヒーとペストリーの軽い朝食から。この小さなカフェの目の前には、文化芸術センター、カイシャ・フォーラム・マドリードがあります。館内では定期的に入れ替わる展覧会が開かれていますが、建物の一面を覆う「垂直庭園」も見ごたえがあります。外壁を彩る見事な緑を眺めながら味わう朝食は格別です。
マドリードは創造と芸術の街です。ありとあらゆる種類のミュージアムがあり、展覧会が開かれています。私のお気に入りはソフィア王妃芸術センター。スペイン前王妃の名を冠するこの美術館は、サルバドール・ダリ、ジョアン・ミロ、パブロ・ピカソなど20世紀スペインを代表する芸術家の作品を所蔵しています。コレクションには、ゲルニカ空爆の悲劇と内戦で引き裂かれたスペインの惨状を描いた、同館の至宝ともいえるピカソの傑作「ゲルニカ」もあります。
もうひとつの見逃せない名所は、美の殿堂プラド美術館です。洞窟のようなギャラリーや展示室を巡っていると、数時間はあっという間。ここには、ディエゴ・ベラスケスの代表作「ラス・メニーナス」をはじめ、フランシスコ・デ・ゴヤ、エル・グレコといった巨匠たちの作品など、世界で最も包括的なスペイン絵画コレクションが揃っています。現代の対話や議論に積極的に参加している美術館に関心をお持ちなら、国立ティッセン=ボルネミッサ美術館がおすすめです。13世紀から今日までに創作された幅広い作品を収集していますが、キュレーターが画期的な特別展やイベントなどを企画し、ジェンダー平等や気候変動といった多様なトピックを探求していることでも定評があります。
そろそろお昼の時間です。ウエルタス通りのタパスバーLos Rotosに行ってみましょう。タパスメニューが充実したレストランですが、名物はウエボス・ロトス、直訳すると「壊れた卵」です。目玉焼きをフライドポテトとお好みのお肉、例えばハモン・セラーノ(生ハム)やチョリソー(腸詰めソーセージ)とともに食べるマドリードの人気料理です。ワインや地元のビールマオウと合わせれば完璧です。
ソブレメサ(食後のおしゃべり)を楽しんだら、王立植物園へ。有名なレティーロ公園に隣接しています。ここでは自分好みの都会の自然体験を楽しみましょう。植物園には野外庭園や温室や散策路があり、レティーロ公園には見事なバラ園やレンタルボートで遊べる湖もあります。さらに、ロンドンのクリスタルパレスをモデルにしたガラスのアトリウム、クリスタル宮殿には大理石彫刻が展示され、美術展が開催されることもあります。
続いて、アルカラ通りを散策しましょう。マドリードでも特に長い通りで、両脇にモニュメントが並びます。凱旋門であるアルカラ門、街の象徴シベーレス噴水、中央郵便局としても使われていた旧宮殿シベーレス宮殿で、お約束の「マドリードに行ってきました」の記念写真を撮りましょう。もうひとつ有名な通りはグラン・ビア。ショッピングとナイトライフの中心街です。
これだけ歩いた後は、ディナーと座れる場所が恋しくなるでしょう。文化センターシルクロ・デ・ベジャス・アルテスの屋上にあるレストラン・バーAzotea del Círculoに行ってみてください。ここから一望する街並みは、特に夕暮れ時には格別です。非常に人気のお店なので、予約をおすすめします。手始めに豊富なワインコレクションから1杯。シェフのマニュエル・ベルガンサによる鮮やかな料理を堪能し、舌のとろけるようなデザートで夜を締めくくりましょう。
スペインの定番チュロスで朝をスタート。人気のチュロス店はChocolatería ValorとChocolatería San Ginésの2軒があり、互いに数ブロックの距離にあります。食べ比べて、Valor対San Ginés、チュロス対ポラスというマドリードの熱い議論に参戦してもよいでしょう。伝統的に、チュロスとポラスは同じ生地を使いますが、ポラスの方が太身で直線状です。私は個人的にポラスのファンですが、この件に正解・不正解はありません。
朝食が済み、チュロスの好みをめぐる友好的な議論を終えたら、マドリードの中心広場プエルタ・デル・ソルまで歩きましょう。この広場では、スペインのゼロキロメートルプレートや、マドリードの象徴ともいえるEl Oso y El Madroño(熊とイチゴノキ)の像、インスタ映えしそうな人気シェリー酒Tío Pepeのネオン広告が見られます。時間とお腹に余裕があれば、Pastelería La Mallorquinaで絶品のペストリーやチョコレートトリュフを食べてみましょう。特に、クリームまたはチョコレート入りのペストリーナポリターナがおすすめです。小さなベーカリーで店内に席がないため、購入したら広場に出て、開放的な雰囲気の中で楽しみましょう。また、マドリードの伝統的なキャンディVioletaを買うのもお忘れなく。スミレのエッセンスで香りづけされた美しい紫色のキャンディで、お土産にぴったりです。
マドリードでもうひとつの賑やかな広場、マヨール広場も、同じく街を象徴する美しい広場です。広場を囲む建物には優雅なバルコニーが並び、レストランやバーのテラス席が広場に広がる風景は、まさにマドリードらしい光景です。ランチの時間になったら、広場のすぐ外にあるCervecería La Campanaへ。ここは、マドリード名物Bocata de Calamares、カラマリ(イカ)フライのバゲットサンドの定番スポットです。仕上げにレモンをひとしぼりすれば、さらに美味しさが引き立ちます。店内のテーブルが空くのを待つか、お急ぎならテイクアウト窓口でも注文できます。
座ってボリュームのあるお料理を楽しむなら、コシード・マドリレーニョ(Cocido Madrileño)をLhardy Restauranteで。コシード・マドリレーニョとは、スペインの伝統的な煮込み料理で、豆や野菜や肉を入れたものです。数十のバリエーションがありますが、典型的な材料としては、ひよこ豆、ジャガイモ、ニンジン、キャベツ、鶏肉、塩漬け豚のばら肉(トシーノ)、チョリソー、モルシージャ(ブラッドソーセージ)、牛のすね肉などが挙げられます。伝統的に、スープはトッピングと別に出され、お好みによりカスタマイズできます。私が普段入れるのは、ひよこ豆、ジャガイモ、鶏肉、牛のすね肉です。
昼食が済んだら、壮観なマドリード王宮へ向かい、豪華な広間や華麗な部屋の数々を探索しましょう。細部まで緻密に作り込まれた建築美と、この象徴的なランドマークで育まれた豊かな歴史を、心ゆくまで味わってください。宮殿の各部屋には、それぞれの物語が息づいています。精緻な芸術作品や豪華な調度品が並ぶ空間は、王室の気品と伝統を色濃く映し出しています。
この日の締めくくりはCorral de la Moreríaでディナーとショーを楽しみましょう。マドリード随一のフラメンコタブラオ(シアター)です。モダンなアレンジを加えた伝統的なスペイン料理を堪能しながら、目の前で繰り広げられる情熱的なフラメンコの世界に魅了されるひととき。魂を揺さぶるリズムとダンスが、夜を華やかに彩ります。
最終日はマラサーニャ地区に出かけましょう。Lolina Vintage Caféはポップで個性的な雰囲気が魅力の朝食の名所で、トーストが人気です。続いて、1ブロック先のLibros Para Un Mundo Mejorへ。「よりよい世界のための本たち」という名を冠した古書店です。居心地のよい店内にはマドリードをモチーフにした特製のカード、文具、ステッカーなども豊富に並んでいます。人懐っこい飼い犬ローラや、シャイですが愛らしい看板猫にも、運がよければ会えるかもしれません。
残りの午前中の時間を使って、マラサーニャのカラフルで個性的な街並みと、近隣のチュエカ地区で過ごしましょう。ここはマドリードのLGBTQ+中心地でもあります。通りは迫力のあるストリートアートで彩られ、個人商店や小規模なブティックが軒を連ねます。このエリアでショッピングするなら、2つの地区の接点にある象徴的な商店街フエンカラル通りを歩くのがいいでしょう。
ランチの時間になったら、サン・アントン市場へ。多様な食が味わえるチュエカのフードコートです。ここでは自分好みの食の冒険が楽しめます。私のおすすめはEl Bar de San AntónのCroquetas de Jamón(ハムのクロケット)。ベシャメルソースとハモン・セラーノ(生ハム)をクロケットに詰めて揚げた、人気のタパスです。たっぷり注文しましょう。1人で20個くらい食べたくなるはずです。
昼食後は、グラン・ビア通りを散歩しながらデボー神殿に向かいましょう。古代エジプト神殿をマドリードの緑豊かな公園内に再建した建造物です。近隣には広大なオエステ公園があり、華やかなバラ園が見どころです。
デボー神殿から10分ほど歩くと地下鉄プリンシペ・ピオ駅があります。メトロ10号線でトレス・オリボス方面に向かいましょう。サンティアゴ・ベルナベウ駅で降りると、徒歩数分でサンティアゴ・ベルナベウ・スタジアムに着きます。サッカークラブ、レアル・マドリードの本拠地です。シーズン中にマドリードに滞在するなら、サッカーの大ファンでなくても、ぜひ観戦チケットを入手したいものです。熱意あふれるサポーターが大声援でスタジアム全体を揺り動かすような気迫と情熱は、他に類を見ない特別な体験です。観戦予定がなくても、スタジアム内にはミュージアムと広いオフィシャルストアがあります。
マドリードにはもうひとつの名門サッカーチーム、アトレティコ・マドリードがあります。彼らの本拠地であるスタジアムは、市の東側、空港の近くに位置しています。
最後の夜の締めくくりは、サン・ヘルマン通りのCazorla Restaurantesで夜遅めのタパスを楽しみましょう。このお店は真夜中まで営業しており、スペイン全土、特にアンダルシア南部のタパスを供しています。ニンニクの効いたエビ料理ガンバス・アル・アヒージョや牛テールの煮込みラボ・デ・トロをお試しください。
マドリードは、芸術、音楽、建築、スポーツ、そして友愛に満ちた特別な街です。ソフィア王妃芸術センターで息をのんで絵画を見つめるときも、レアル・マドリードがゴールを決めた瞬間に沸き立つファンと歓声を上げるときも、祖父母の家でコシード・マドリレーニョを食べるときも、この街にいるといつでも私は自分を取り戻し、心が温まります。マドリードを訪れれば、同じように不思議な力を体験できるでしょう。
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